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倫理について

| コメント(1) | 12年10月13日

先日山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞しました。

山中教授の研究によればiPS細胞というものを使うと、自分の細胞を使い臓器を培養したりすることも可能になり、臓器移植の問題や、難病で苦しむ人達には希望の光となりうる研究だそうです。

しかしその技術の進歩と同時に、生命倫理の面でこれからどのように法整備されていくのかということも注目されています。

少し前のニュースですが、出生前診断で胎児が体内にいるときに障害をもっているかどうかということが99%わかるようになったそうです。これから検査方法が簡単になれば、これからこの検査は一気に普及し、その結果によっては、生まれるべきはずだった命が間引かれてしまうという懸念もあるようです。

こういう技術が進歩して、iPS細胞技術も、出生前診断も実用レベルになってきたときに必ずぶつかるのが倫理感というものです。僧侶の間でも、こういう問題が持ち上がると様々な議論がされます。

そのニュースや議論をする中で感じる事は、この検査をして、子どもに障害があるとわかった時にどうするか、臓器を培養して悪いものを取り替えて、少しでも長く生きながらえるのがいいことなのかどうか。その答えはその人の置かれた環境や、立場や、それこそたくさんの縁によって判断されることであり、その判断自体に是も非もないと感じます。無論個人的な気持ちとしては、命を間引くことに対して肯定はしませんし、むしろそういうことが起きなくていいなら根絶したいと思います。

しかし今自分がその状況にいないところで、自分の意見を述べたとしても、いざ自分だってその状況になったらどちらを選択するかもわからない。

選択というものには、いろいろな想像を超えた様々なものが作用します、それは一人の人間の脳みそのはじきだせる限界をこえていて、考えたところで答えの出るようなものではないと思います。

ただ大切なのは、いづれにせよ、どちらの選択をしたところで、いづれにも苦しみが生じる。その生じた苦しみにいかに向き合うかが僧侶の仕事だと思います。その答えと解答を1つでも多く教典の中に学んでおくことが大切なのではないかと思っています。

苦しみを生み出す元を絶たなければ意味がないという意見もあるありますし、焼け石に水のような作業かも知れませんが、目の前にいる袖ふれあうところにいるところの人達の中に生まれた苦をとりあえず、船底の水を掻き出すみたいに対処していくことが僧侶のできることであり、やるべきことだと感じています。

副住職

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